nobcha23のエアバンド受信機自作ブログ DIY airband receiver BLOG

エアバンドレシーバーキットの組み立て、改造を手掛けます Assemble and remodel Chinese airband receiver kit

R909-VFO基板を作り、エアバンド受信機キットをデジタルVFO化改造Ⅱ Modifying the Chinese airband receiver kit again.

I will introduce how to combine the degital VFO with the Chinese airband receiver kit. The tiny R909-VFO is suitable for remodeling the kit to incorporate the digital LO. If you would like to know more information in English, please visit below GITHUB.

github.com

R909-VFO基板+Si5351aモジュール+OLED+エアバンド受信機キット

R909-VFO+AB kit

本ブログ記事の趣旨-前置き
今回紹介するのはデジタルVFO(R909-VFO基板)の活用試作事例です。VFO基板を作り中国製エアバンドキットをデジタル化します。

1.既にエアバンドキット(アナログVFO方式)を組み立て、使用中で、もうちょっと、安定運用(待ち受け受信やチャンネル選択)ができたら良いなと感じておられる方にお勧めしたいと思います。

2.R909-DSPというSi4732+Si5351a+Arduino基板を開発した際、派生でR909-VFO基板ができ、それを応用します。


もともとこのブログはエアバンド受信機キットのデジタル局発化改造から始まっています。これは面白そうだと、エアバンド受信機キットを買い、組立てました。でも少し使ってみると、いくつか不満点が出てきて、改造に手を染めました。一番大きいのはSi5351a局発を使ったデジタル局発化です。その過程で、キットの組み立て方、VFOの試作と、進めるにあたり、色々な自作サイトを参考にさせていただきました。みなさんからいただいた情報に感謝します。

ところで、このエアバンド受信機キットの起源ですが、ワタシがWEBサーフィンした情報では "Electronics Hobbyist Handbook", Spring 1994. Copyright © Fred Blechmanが初出のようです。その前にも少し回路構成が異なるキット(RAMSEY ELECTRONICSのAR1C) が売られていたようです。1998年にはアメリカでVEC-131Kというコピー設計品のようなキットも売られています。そして2010年ぐらいに部品入手難でディスコンしたようです。その後だと思いますが、現在中国ECで売られているコピー設計品がたくさん出回ってきたようです。中国ECのキットの各種バージョン(フィルターがエナメル線コイルとか可変コンデンサーなど)、についてはair meterさんのブログで紹介されています。

 


当初はこのキット改善の、改造から始まりました。そのうち、更なる改良には、独自の回路設計、基板設計が必要と、自分で一から開発しました。DSPチップを使うATX-20を参考にしたSi4732を使うエアバンド受信機です。その出来上がったDSP受信機はVFO制御部とRF部に別れており、VFO制御部だけでもRF信号発生器とか、アナログ受信機のデジタル化局発改造に使えます。そこでアナログ受信機デジタル化局発改造の一例として、エアバンド受信機キットデジタルVFO改造を行うことにしました。


まずは今回の組み合わせはどういうものなのかブロックダイヤグラムをご覧ください。エアバンド受信機キットはオリジナルケースに入っています。このキットは一度改造に使った痕跡でフロントパネルに窓が開いています。また、周波数調整ボリュームも取り払ったので、穴が開いています。

ブロックダイヤグラム

Block diagram

全体部品リスト

必要な部品

R909-VFOをまず作る。


試作のステップはエアバンド受信機キットの組み立て+改造と、R909-VFOの試作です。

この改造試作のキー部品であるR909-VFOの作り方です。まずはGITHUBにアップロードされたガーバーデータZIPファイルを利用し基板を作ります。ZIPファイルはPCBGOGOのプラグインを使用して作りました。主要部品として、Si5351aモジュールやOLED表示モジュールやArduinoUNOのブートローダーを焼いたATmega328Pを使います。部品表を用意してありますので、参考にしてください。もちろんシンプルな回路なので、ブレッドボードやユニバーサル基板でも難なく作れます。


VFOプリント基板の回路図 

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部品表

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VFOプリント基板のガーバーファイル 

github.com


PCBGOGOのKiCADプラグイン利用したZIPなので、次のPCBGOGOリンク

www.pcbgogo.jpを経由しユーザー登録し利用願います。

 

R909-VFOをケースに入れる

R909-VFOをアルミケースに入れるためフロントパネル、バックパネル基板を用意しました。アルミケースは例えばAliExpressで売られている88x38x70のケースが使えます。

アルミケースと前後パネル

ケース用前後パネルの基板データは次です。

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PCBGOGOのKiCADプラグイン利用したZIPなので、次のPCBGOGOリンク

から登録し、手配します。

 

エアバンド受信機キットの組み立てと改造


エアバンドキットは製作マニュアルに従い、組み立ててください。後で改造するので、はんだ付けしない方が良い部品があります。

1.外部局部発振周波数(LO)改造:バリキャップ+ボリューム制御の602A発振回路を使いません。替わりにR909-VFOから信号を入れます。

局発外部入力

2.スケルチ改造:切り替え時ポップ音がうるさいので、切り替えノイズをなくします。LM386の増幅度を上げます。

スケルチ切り替え時POP音対策


3.受信周波数近辺のノイズ低減のためにフィルターを水晶に変えます。インピーダンスマッチングのため抵抗コンデンサーを追加します。

 

エアバンドキットは元のケースに入れ、R909-VFOとの間を同軸ケーブルと信号線をつなぎ動作させます。(この時OLED基板を壊したので、替わりに32x128基板を使ってデバッグしてました)

接続して実験

操作法とか動作例
YOUTUBE 追って掲載予定

 

スケッチ ATmega328Pで使うArduinoのスケッチ仕様


周波数設定:STEP周波数単位で周波数を増減 80-160MHz
STEP周波数:8.33KHz、1KHz、10KHz、100KHz、1MHz、25KHz

IF周波数:10.7MHz(スケッチで指定)

スケルチ:LEDの点灯しきい値

周波数較正設定:Si5351aの水晶発振周波数25MHzの較正

モリーチャンネル:50、自動スキャン可能

 

Rotary encoder とpush switchによる機能操作: 下表による

Mode

FUNC select

FREQ

STEP

MEM

SCN

F_COR

Rotary encoder

[FUNC/FREQ]

{FUNC/STEP}

{FUNC/MEM}

[FUNC/SCN]

[FUNC/F_COR]

To increase or decrease the frequency by step

8.3kHz, 10Hz, 1kHz, 100kHz, 1MHz, 25kHz

To increment or decrement the channel

To increment or decrement the channel

To increase or decrease the value

RE-SW 一回押し

To go to every function

To go out to FUNC select

RE-SW ダブルクリック

none

To store the parameter in EEPROM

To store the frequency in defined EEPROM

To go into AUTOMATIC scan channel mode

To store the parameter in EEPROM

SW1: To go into frequency mode

SW2: To go into channel mode

 

github.com

 

 

今回この試作で新たに入れた機能は8.33kHz対応のステップ周波数です。ロンドンとかニューヨークなどの飛行機過密地域では通信チャネルが不足し周波数間隔を25kHzから8.33kHzに変えチャネルが増やされています。日本でも同様に総務省や関係機関、会社がチャンネル増を検討中のようです。

 

 

R909-VFOとR909-DSP


いかがでしょうか。このVFOはスケッチさえ修正すれば、色々なアナログ受信機(LF-HF-VHF)のデジタル局発として使えます。この間はAD-831モジュールと組み合わせ、HRD-737を21.4MHz親機にするダブルスーパー?を実験しました。DSPチップを使ったラジオで列車無線などの業務用無線も聞いてみたいと思っています。このR909-VFOを使う実験はまだまだ続きます。

 

記事中にはアフィリエートやプロモーションがふくまれています。

 

受信感度10dBSN  To measure 10dBSN sensitivity for DIY radios

The sensitivity specificattion for VHF AM radios is measured by 10dBSN method. I tried to get the value by using tiny SA ultra, Adruino oscilloscope, and connecting circuit. I described the note how to check the value.

 

WEBの情報を参考に、受信機感度の測定手順についてまとめてみました。手持ちのDIY機器とか部材を利用し、できそうな簡易的な手順をまとめました。(自分でもいくつか間違いを見つけましたが、おかしいところに気付かれたら、お教えください。)

10dBSN受信機感度測定手順

10dBSN method

10dBSN method




10dBSN法による感度測定をまとめようとしたきっかけはtiny SA ultraにSG機能が付いていたことでしょうか。nanoVNAはゼロスパンにして周波数を自由に指定できる発振器として使えました。tiny SA ultraでは1dB単位の出力設定ができ、変調のON/OFFまで付いています。(ちょいバグがあり-60、-100dB近辺でレベル増減がおかしくなったり、110dBm以下では画面設定できるが、出力信号レベルは変わらない、AM変調度は80%固定など注意事項はあります。)

ミリバルの替わりに波形確認できる音声帯域コンパクトオシロを使います。およそ20kサンプルで、ACレンジあり、rms電圧の読み取り表示があります。

また、今回ミリバルの替わりにArduino oscilloを使ったので、10dBNQもさることながら、12dBSINADも面白そうと思いました。Arduino oscilloですが、ラジオペンチさん開発のArduino oscilloパオさんがフォローして基板を作られ、プレゼント配布されているのに出くわし、プレゼントに応募して、作りました。そして、スケッチは厚木市シリコンバレー4066番地さんにより改良されたV402を使っています。今回の10dBNQ測定にちょうど間に合い感謝しております。


測ってみて、波形から見て、受信機が信号を受信できるという限界条件の意味がなるほどなと言う感触を得ました。Arduino oscilloを使う前は、電圧表示だけでは不安だったので、クリスタルイアホンをパラにつなぎ、音を確かめながら値を観測してました。Arduino oscilloだと復調信号波形が見えます。感度近辺の応答ではダイオード検波、IC内部の検波回路、DSPチップと違う歪波形でした。


前置きが長くなりましたが、手持ちエアバンド受信機の感度測定データです。(アマチュア自作機材、手法を利用しており、あくまでも目安値です)

測定データ

感度のリスト






測定つなぎ

つなぎ

 

 

 

 


10dBSN法は追い込み方式で値を取得するので手間がかかります。SINAD値だと観測し、達成で感度が判り、行ったり来たりしなくて楽そうです。次には12dBSINADの方もやってみたいと思ってます。

 

R909-DSP1/2のTA2003各端子デジタルテスター測定電圧値を比較し不具合要因を探る Comparing the measuring value with the data sheets.

I could not find the cause of backgound noise from TA2003 or the former section. I shall compare the measuring value with the TA2003 data sheet listed. I measured all nodes of R909-DSP1 and R909-DSP2. However I could not claer this isuue. 

After then I finally noticed that the trace of i2c-SDA was neibouring BGA2851. I cut it, dropped it on ground, and changed i2c-SDA trace into jumper line. I could decrease the  backgound noise from the RF section.


R909-DSP2(BGA2851+TA2003+Si5351a+Si4732+TDA2822)のデバッグで苦戦しています。R909-DSP1(TA2003+Si5351a+Si4732+LM386)の設計を元に、バッテリー電源駆動対応で、電源は全3.3V化(バッテリー接続時は3.9Vで動かす)し、AMPは2822、RF利得を補うためLNAを追加しました。(TA2003の替わりにCD2003を使ってます)
現在残されている不具合症状は、電源入れるとアンテナつながなくてもザーッと言うバンクグラウンドノイズがRSSI値で20から30ぐらいあることです。Si4732はそのノイズで受信状態になってします。R909-DSP1ではそんなことはありませんでした。

R909-DSP2のRF部回路図

R909-DSP2回路図

 

あっちこっち、コンデンサーやら抵抗を外したり、チップセラコンをパスコンとして追加したりしていますが、少しマシになったかなぐらいで効果はいま一つです。

切り分けしてみようと、CD2003を外すとノイズはなくなり、Si5351aを外しても変わらずです。消去法ではTA2003のFMミキサーから出ていることになります。CD2003のRFアンプ負荷をいったん1kΩにし、更に抵抗からトロイダルコイルに変えてみました。利得は増えたが、ノイズは変わらずでした。

こんな時の原因究明方法としてデジタルテスターでの各信号端子電圧測定と言うのがありました。それで東芝のカタログを見てみると「端子説明」と言う表の中に無信号時端子電圧(標準値)が記載されています。早速デジタルテスターを使って、R909-DSP1,R909-DSP2の3.3V供給と5V供給における各信号端子の電圧を測りました。

テーブル

TA2003各端子電圧リスト

 

 

この実験の結論ですが、際立っておかしい電圧値は見当たらずです。

 

そこで、もう一度基板パターンはどうかと比べてみました。R909-DSP1とR909-DSP2の大きな違いはi2cインターフェイスにあります。R909-DSP1ではレベルコンバーターが入っていたが、R909-DSP2では全部3.3V電源のために直結です。そのため、基板のあちこちを引き回しており、まずいことにBGA2851の隣を抜けていました。BGA2851の入出力信号線がグラウンドで両側ガードされていず、SDAラインが隣接してました。早速SDAの信号トレースを切り、グラウンドに落としたら、効果ありました。弱受信信号でかすかな寄生発振みたいな挙動がなくなりました。しかし、バックグラウンドノイズはまだ少し残っています。R909-DSP1に対し、R909-DSP2ではフィルターロスが増え、BGA2851の増幅で補っているが、フィルターロス+BGA2851でのNF悪化がその差だと思われます。受信感度はR909-DSP1と同じぐらいです。フィルターロスとかVCC低下での利得減少をBGA2851で補ったかと言うところでしょうか。


ということで、R909-DSP2が大体動き出し、次は感度測定とか、スケッチ改良をやってみようかと思います。

 

基板とケース

 

一息ついて次はスケッチのバグつぶしと思ってましたが、感度測定をやったら、また粗が目立ち、もう少し検討必要となりました。

R909-DSP1のスケッチと操作について About the R909-DSP1 Arduino sketch

The R909-DSP1 sketch is programmed into the ATmega328P using the Arduino UNO loader. There is a 6-pin header for a USB Serial module that connects to the Arduino IDE, allowing you to drop programs into the ATmega via USB Serial. In this article I will explain the operation reffering the display.

 

R909-DSP1のArduinoスケッチはATmega328p(UNOローダー付き)にプログラムして使います。制御PANEL基板にはUSBシリアル変換モジュールと繋ぐための6pヘッダーが用意されており、このUSB経由でArduinoIDEからプログラムすることを前提にしています。

Si4732DSP、Si5351aクロック、OLED表示モジュール、ロータリーエンコーダーなどの主要な機能モジュール制御にはライブラリーを引用利用しています。DSPはPU2CLR、クロックはTJ LAB/JF3HZB、表示はADAFruits, REはBenBucstonのライブラリーを使いました。技術情報提供に感謝します。機能選択とパラメーター設定をロータリーエンコーダー&REプッシュスイッチで行う操作性はkpa radioオリジナルです。

ロータリー&プッシュで行う操作の操作フロー

操作のフロー


画面説明

R909-DSP1受信機画面


画面表示デザインはCesarSoundの10kHz to 225MHz VFO/RF Generator with Si5351を参考にしました。CesarSound Published February 28, 2021 © GPL3+
10kHz to 225MHz VFO/RF Generator with Si5351 - Version 2


R909-DSP1概略仕様
・受信周波数/変調方式:エアバンド118-136Mhz(AM、IF=21.4MHz)、FM放送79-109Mhz
・受信周波数設定:100Hz,1kHz,10kHz,100kHz,1MHz,25kHz単位で増減(希望あれば8.333KHz追加可能)
エアバンド感度:約-110dBm(@118.1MHz)
・アンテナ端子:SMAコネクタ
・ボリウム/スケルチ設定: 0-63 デジタル
・受信信号SNR/RSSI表示
・不揮発記憶:周波数/ボリウム/スケルチ/帯域、周波数メモリー:50チャンネル
・メモリーチャネルスキャン:ダイヤル/自動(エアバンドチャネルのみ自動スキャン可能)
・受信帯域:1、2.5,3,4,6㎑を選択可能
・基本周波数発振子誤差較正設定
・DC9-12V直流電源約0.11A供給
・大きさ約88x38x100,350グラムぐらい。アルミケース収納用フロント、バックパネル基板あり。


なお、R909-DSP1の現状バージョン基板に対する主なERRATTA情報は次の3点です。
1.Si4732のグランドパターン浮き。パターン設計不良。A面該当箇所をGNDにつなぐ。
2.OLED表示時ノイズ対策不完全です。OLEDへの供給路を分離し100Ω100µFのデカップリング入れる。それでもまだ若干の影響残る。
3.実装部品の当初設計値からの変更がいくつかある。

詳細はGITHUBに掲載しておりますので、内容を確認の上参考にしてください。

https://github.com/Nobcha/R909-VFO

 

ATmega328PへのArduino UNOを使ったブートローダーの書き込み方法は次に説明しております。

nobcha23.hatenablog.com

 

 

 

KiCADでパターン設計を行い、PCBGOGOのプラグインでZIP出力したものです。基板の手配は下記PCBGOGOのリンクからアクセスし、GITHUBからダウンロードしたZIPを送ります。手順としては、ID登録、ZIPファイルで見積もりをかけ、担当営業から応答があり、疑問点などやり取り(日本語でできます)して進めてください。

www.pcbgogo.jp

 

 

 

 

 

 

DIYエアバンド受信機(Si4732使用)の作り方  I would like to introduce R909-DSP1

Currently R909-DSP1 is a best my DIY airband receiver. R909-DSP1 is made of TA2003+Si5351a+Si4732+LM386. I would like to introduce it in details. I uploaded the nessesary data on GITHUB.

 

R909-DSP1エアバンド/FM受信機の自作基板一式です。右上が組み立てた基板です。

使う基板一式

 

 

DIYエアバンド受信機のキット組み立て、改造、新規設計などを数機種手掛けてきました。その中で、今のところ、安定度・感度でR909-DSP1が一番だと思っています。作り方を説明します。この機種は回路設計、基板設計、スケッチ設計、ケース入れのすべてをDIYしました。再試される方のために、基板や部品の調達、はんだ付け、組み立て調整、Arduinoのスケッチを書き込み、ケース入れの要点を説明します。

 

R909-DSP1受信機外観

操作・動作は次になります。

www.youtube.com

構成はTA2003+Si5351a+Si4732+LM386です。TA2003とSi5351aで第一ミキサーを構成します。フロントエンドのエアバンド帯域フィルタの通過後、TA2003でSi5351aからの局発と混合します。21.4MHzのIF信号はセラフィル通過後2SC3355で中間周波増幅し、Si4732を21.4MHz受信機として動作させます。Si4732はPU2CLRのライブラリーで動かしています。周波数制御のSi5351a、ラジオ部のSi4732、そして表示のOLEDをArduino UNOコンパチのATmega328pによりi2cインターフフェイス経由し動かします。

 

ブロックダイヤグラム

 

・主な仕様は次になります。

 

1. 受信帯域:航空無線帯域 AM; 118-136MHz, FM放送帯域FM: 76-109MHz

2. チャンネルメモリー 50チャンネル

3. 感度:およそ -110dBm(エアバンド

4. 供給電源:DC+12V、およそ:110 mA

5. 音声出力:約1W max, 2.5 jack

6. ケースの大きさ:38h x 88w x 100d、重量:およそ250grm

 

 

構成基板は表示とスイッチと制御部を載せたPANEL基板、RF回路部分を載せたRF基板の2枚からなります。ケースは88x38x100のアルミ引き抜き材ケースを想定しており、フロントとバックのケースパネルを基板で用意しています。

基板構成

ケース内部



Arduinoスケッチはロータリーエンコーダー+エンコーダースイッチ組み合わせのkpa radio製です。FM放送が聞けますし、50チャンネルの周波数メモリが用意されており、Si5351aの周波数較正とか8.33Khzチャンネルステップ(近々公開)があります。まだまだちょいバグはありますが、何とか一通り動くので、デスクサイドにおいて航空無線もワッチできるFMラジオとして使っています。

 

・作り方

さて、基板の準備と組立ですが、すべての必要な情報はGITHUB上に公開しております。AMAZONとかALIEXPRESSなどで売っている中国製エアバンドレシ-バーキットをはんだ付け組立、調整して受信可能にするまでぐらいの技術とやる気があれば、このR909-DSP1は組立、調整可能と思います。留意ポイントとしては基板をはじめとした部品調達、SOP-16のはんだ付け、フィルタコイルを巻く、基板パターンの間違い修正、ATmega328Pへのブートローダー・スケッチ書込みなどでしょうか。

 

・基板や部品の準備

 基板パターン 4種

RF部 PANEL制御部 PCB

ケース裏表パネル、制御パネル部 基板

KiCADでパターン設計を行い、PCBGOGOのプラグインでZIP出力したものです。基板の手配は下記PCBGOGOのリンクからアクセスし、GITHUBからダウンロードしたZIPを送ります。手順としては、ID登録、ZIPファイルで見積もりをかけ、担当営業から応答があり、疑問点などやり取り(日本語でできます)して進めてください。

www.pcbgogo.jp

基板と共にBOMに従って部品を集めないといけません。国内では秋月電子千石電商共立電子、イーエレなどなどで大体は集まります。RSオンラインとか、DigiKeyをお使いになると、ほとんど集まると思います。Si4732とSi5351aモジュールはAmazonとかはAliexpressとかeBAYになります。脅かすつもりはありませんが、Aliexpressのショップの中にはFAKE部品を売るところもありますので、要注意です。そんな部品に当たると、真贋判定、クレーム処理応対(Aliexpressの対応は最近良いので、証拠を明らかにして交渉すれば返金されると思う)などちょっと邪魔くさいです。売れ数、評判などでお店の良しあしを判断してください。

 

・組み立て手順 

SOP-16のはんだ付けがあるので、手はんだだと少し大変です。まずは部品表に従い、部品を整理します。はんだ付けは表面実装部品、背の低い部品、ICソケット、コネクタピンヘッダーとなります。

カラーコードはメーカーで色目が違っていたりして、例えば、茶色、黄色、赤色などを判別しにくい場合があります。ワタシの場合は、デジタルテスターとかコンポーネントテスター(LCR-T4)で確認しながら実装しています。トータルで考えると、もし間違った時の手戻り時間を考えると、助かると思います。

コイルは手巻き調整があるので、Si4732が動いてから組み立てるのが良いと思います。別記事で説明します。

 

基板のはんだ付け組立が終わると、チェックと調整です。

 

まずは電源ショートなどないかの確認です。

電流計を経由し電源を供給すると、およそ110㎃ぐらいになるはずです。

 

次に、テスト用スケッチで基本的な接続間違いがないことの確認をします。そのためのテストスケッチR909-DIAGを用意しました。このスケッチのポイントは次になります。

1. i2cバスへ関係IC,モジュールがつながっているか確認します。OLEDにつながっているi2cデバイスのアドレスを表示します。

2. Arduino IDEのシリアルポートからのコマンド入力でSi4732をパラメータ設定し動かします。

以上まで行くと、以降は手巻コイルが必要となります。コイルの巻き方については別な投稿にて説明します。

 

2.1 FMモードで放送波を受信させます。ここで音が出るとSi4732からアンプ系まで動いているのが判ります。FMアンテナ用のピンヘッダーに電線をつないだり、アンテナにつなぐと受信がうまくいきます。

2.2 エアバンド受信の方はまず、AMモードでテスト信号源の受信ができるように設定します。Si5351aのクロック出力を周波数カウンタで確認します。ここではローカル発振周波数を指定するので、受信したい周波数+21.4MHzを設定します。

 

ここまでくると、あとはテスト信号源を使った調整になります。もし、空港のそばにお住みで空港ATISが受かるようならアンテナで信号を受信しながら調整するのが実用的です。ワタシの場合はR909-DSP1の派生でできたR909-VFOにATTを入れ信号源にしています。

 

 

感度性能としてはメーカー品ハンディー機に匹敵するかもと思っています。それよりも回路図、基板、Arduinoのスケッチを公開してますので、自分仕様に改造できるのが大きい特徴です。国内ではまだ再試された事例はありませんが、欧州、中国の方が追試や改造に取り組まれています。

 

GITHUBには必要なデータ類を掲載し、データファイル一覧表を載せてあります。

https://github.com/Nobcha/R909-SDR/

 

スケッチの説明や、操作の仕方、コイルの巻き方・調整の仕方については別な投稿で説明します。

(続く)

 

このブログ記事の中にはアフィリエートやプロモーションの内容が含まれています。

 

 

 

 

 

R909-DSP1回路ブロック利得配分を簡単に測定・推定 Measuring and estimation for R909-DSP1 distributed gain

I would like to know the gain distribution of the R909-DSP1. Today I checked and estimated some to write the gain distribution map for R909-DSP1. 

 

今後のコピペ設計の参考に、回路各部の利得配分を調べることにしました。今のところR909-DSP1が手持ちエアバンドDIY受信機の中でも感度良好、スプリアス感度も低く、お気に入りです。R909-DSP1を調べた後に、R909-DSP2の不具合対策することにします。


実験用信号源はR909-VFOにします。Si5351aの裸出力+12dBmでは強すぎるので、20dB(メーカー品)+40dB(自作で実力39dB)のATTを介し,-およそ50dBmの信号源にします。信号検知はtinuSAに整合用3dBATTを付けて受けることにしました。

 

R909-DSP1受信機で利得配分を調査

 

測定結果と測定できない部分の引用推定値を入れ、ダイヤグラムを作りました。

 

レベルダイヤグラム

R909-DSP1受信機の概略利得配分

SKYWORKS社のカタログで感度が明記されているのはSi4734/35のデータシート第11表です。SW帯ではSNR26dBで平均25µVEMFとあり、換算すると-85dBm(21.4MHz)になります。

これを引用すると、R909-DSP1は-92dBmぐらいと言うことになります。しかし、この間の測定では-109dBMぐらいでした。Si4732のSW帯感度のカタログ値における条件は26dBNQSですが、この間の測定は10dBNQSぐらいのつもりやってます。それにしても少し乖離が大きいので、Si4732のSW帯感度をATS20を使ってみて、実力値を測ることを検討します。

 

さて、この結果からR909-DSP2の感度を推定すると、BGA2851分が上乗せされ、かなりの感度(-120dBmぐらいか)になるはずです。でもR909-DSP2において実際の電波を受信しても、R909-DSP1より感度アップは感じられず、ノイズのみ目立ちます。ということはBGA2851とTA2003のRFアンプがらみで発振気味になり、弱い受信信号を抑圧しているんではないかと推定されます。さて、この対策やいかに。

 

R909-DSP2のフロントエンドフィルターコイルについて About the front end filter for R909-DSP2

I will introduce the R909-DSP2’s front end filter. I used the 2-stage stagger for R909-DSP1. This time I adopted 3 stage Chebyshev characteritic filter.

It is sharply high cut but there is deep ripple. Please look at the last photo.

 

R909-DSP1を組み立てた時は基板をゼロから動かすのに必死で、フロントエンドフィルターについてはちょっと手抜きでした。というのは同調回路を組み合わせた2段スタガーにしたからです。(2023年12月)

R909-DSP1のフィルター特性@nanoVNA

R909-DSP1のフィルター


今回はもう少し遮断特性をよくしたいなと思い3段チェビシェフを試すことにしました。バンドパスフィルター設計シミュレーションツールの力を借りて手持ちコンデンサーから値を選びながら、手巻きする空芯コイルインダクタンスも求めました。

回路図

フィルターの回路図


100MHzあたりだと、ストレー容量、インダクタンスが微妙に影響するらしいので、シミュレーション通りに思うようにならないのを過去に経験しています。まずはお試しにfilterパラメータ検討治具を作り、コイルを巻き実装実験をしました。それでもなかなか気持ちの良い特性が取れません。L2をもう少し巻き足さないといけないというところまで行きました。ということでえいやっとL2を500nHぐらいでやってみることにします。


UEW0.5を使い500nHぐらいと20nHを巻きました。ArduinoのLCメーターとnanoVNA+治具でインダクタンス値を確認しながら進めます。ドライバーのΦ5芯にΦ0.5UEW線を18巻きし、スプリングバックでコイル径Φ5.5で密着なら、長さ10で600nHぐらい、ちょっと伸ばして長さ15にすると400nHぐらいになります。

500nHぐらいと20nHの写真

Coil

 

基板に実装し、nanoVNAで通過特性を確認調整します。バンド内の高い方はいまいちですが、良くワッチする伊丹アプローチ118.1MHzに合わせることができ、とりあえず終わりにしました。118-130MHzで-15dB±3(グラフから整合用ATT3dB*2を減算)ぐらいの通過、FM放送帯-54dB(39dB阻止)ぐらい、イメージ域(118+21.4*2=160MHz)-51dB(36dB阻止)ぐらいです。

nanoVNA通過特性 フィルターだけ

The filter characteristics on nanoVNA


それで今回の実験で理解できたのは、R909-DSP1の2段スタガー方式であるとFM放送帯域を-21dB、イメージ帯域-18dBだったのを、FM放送帯域を-39dB、イメージ帯域-36dBと性能アップしました。設計目論見の-30dBより阻止をクリアできたことです。

 

nobcha23.hatenadiary.com